青々吉日 TSURUGA WAKASA Spring&Summer
13/40

若狭に春の訪れを告げる﹁お水送り﹂は︑奈良時代から続くといわれる伝統行事︒3月2日に小浜市遠敷川の﹁鵜の瀬﹂から注がれたお香水︵こうずい︶が︑地下を通って井﹂に届くとされています︒呼応して奈良東大寺では3月12日に﹁お水取り︵修二会︶﹂が行われます︒この神事の謂れは︑大仏開眼の折に実忠和尚が修二会を行おうと全国の神々を東大寺二月堂に集めたところ︑若狭の国の遠敷︵おにゅう︶明神が漁をしていたため遅れてしまいました︒到着した遠敷明神は法会に大いに感じ︑お香水を献じられる約束をしたといわれています︒その遠敷明神が祀られている若狭彦神社は︑若狭彦神社︵上社︶と若狭姫神社︵下社︶に分かれていますが︑両者を併せて若狭一宮と呼ばれ︑格式高い古社です︒神宮寺にて行われる﹁お水送り﹂は一連の行の最終日の3月2日の朝から︑手向山八幡宮での山八神事︑神宮寺での修二会︑弓打ち神事︑修験者による大護摩法要などを行います︒その後︑大護摩の火を松明に移し︑神宮寺から約2km上流の鵜の瀬へ︒山伏や白装束の僧侶らが暗闇を松明の灯りを持って進みます︒鵜の瀬に到着すると︑松明の火は護摩壇に移され︑僧侶が﹁送水文﹂を奉上し︑お香水が鵜の瀬の淵に注がれ︑神事は終了︒最後は圧巻の迫力で︑見守る方の心を打ちます︒一見の価値のある幻想的な神事です︒春を告げる「お水送り」松明の光が照らす幻想的な神事10日後に奈良東大寺二月堂﹁若狭神宮寺神宮寺12若狭姫神社(若狭一宮下社)若狭姫神社(若狭一宮下社)若狭彦神社(若狭一宮上社)若狭彦神社(若狭一宮上社)   

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る