伝統工芸のキラキラ若狭塗箸を手作りで! おうちごはんをもっと楽しく

公開日:2024.01.26 / 更新日:2024.03.25

アクティビティ
伝統工芸のキラキラ若狭塗箸を手作りで! おうちごはんをもっと楽しく

伝統工芸の若狭塗箸が自分で作れる!? 小浜市の「箸のふるさと館WAKASA」では、オンリーワンの模様を自分の手で研ぎ出す「若狭塗箸体験」を行っています。キラキラ模様が浮かび上がる瞬間、心ときめくはず。若狭塗箸の歴史に触れながら、体験コーナーの模様をリポートします!

そもそも「若狭塗箸」とはどんなもの?

若狭塗り箸
漆の深い黒や赤を背景に、キラキラとした模様が美しい若狭塗箸。箸のふるさと館WAKASAの今井さんによると、この「キラキラ」は、若狭湾の浜辺で洗われる小砂や貝殻の美しさを表現したものだそう。

若狭塗箸の始まりは、さかのぼること400年前。当時の小浜藩の漆塗り職人・松浦三十郎が、中国の漆芸※をヒントに、地元の貝殻を使って生み出したものと言われています。若狭塗箸には今もあわび貝の殻が使われているんですよ。(今井さん)

※漆を塗った器に装飾を施し、芸術的な作品を作ること
若狭の海の幸
お箸の形に加工された木地に、さまざまな色の漆を何回も塗り重ね、その過程で貝殻・卵殻・松葉・金箔などを散りばめていきます。それを研磨すると、中に塗り込められていた貝殻などのキラキラが顔を出します。

削り方の創意工夫で全く違う模様になり、塗り重ねた漆の色もグラデーションになって現れます。江戸時代後半や明治の初めには、螺鈿(らでん)※1のほか蒔絵※2の技法も併用され、すでに200種類もの模様があったということです。(今井さん)

体験コーナーでオンリーワンのMy箸ができるのも、削ってみなければわからない偶然性がなせる技と言えますね。
※1 夜光貝やあわびなどの、光を放つ貝殻を薄く切り、漆器の表面に散りばめたもの
※2 漆で文字や文様を描き、漆が乾かないうちに金粉を蒔いて装飾を施したもの

さっそくMy箸づくりにトライ!

体験コーナーで若狭塗り箸を選ぶモデルの手元
まずは研ぎ出す箸を選ぶところから。赤・黒・青の3種類から、好きなものを一つ選びます。

機械で研磨しますが、それほど難しい作業ではありません。小学生からご年配の方までどなたでも体験できますよ。服が汚れないようにエプロンも貸し出します。(今井さん)

若狭塗り箸研ぎ出し体験中の20代女子二人
仕上がりまでの時間は10分から20分くらい。日帰り旅行の途中で立ち寄った際、ちょっとやってみようかな、という気軽な気持ちでも十分参加できます。
若狭塗り箸のキラキラ模様を研ぎだしている手元のアップ
模様を美しく研ぎ出すコツは、一気に研ぎすぎないこと。漆を何重にも塗り重ねているとはいえ、研ぎすぎると漆がすべて削られて、木地まで削ってしまうこともあるそう。
指導を受けながら若さ塗り箸の研ぎ出し体験中の20代女子

箸の角のところは漆の層が薄いので、そこは特に気をつけるとうまくいきます。私たちがそばについて指導しますので、安心してください。(今井さん)

完成した若狭塗り箸を手に笑顔の20代女子二人
二人のMy若狭塗箸ができあがりました!

研ぎすぎないかドキドキして、最初は恐る恐る……。でも慣れてきたら無言で集中して、あっという間でした。オンリーワンのMy箸は愛着がわきますね!毎日の食事を大事にしようと思います。(左)

伝統工芸の塗箸は「おばあちゃんっぽい?」と思っていたけど、このキラキラはかわいくてテンションが上がります! 毎日大切に使いたい!。(右)

若狭塗箸の研ぎ出し体験は1,100円(税込)。伝統工芸なのに、とてもリーズナブルですよね。

自分で箸を作る機会を提供することで、箸への愛情、感謝の気持ちを持ってもらえたら……という思いから始めました。(今井さん)

小浜は、昔から京の都に食材を提供した御食国(みけつくに)の一つでした。そうした食文化の豊かさが若狭塗箸を生み出し、お箸を通して和食文化を支えてきたのですね。
※研ぎ出し体験の予約は、閉館時間の1時間前までにTEL 0770-52-1733へご連絡ください。来館当日の2日前までは、メールフォームからも予約できます。

日常使いから国宝級の職人手作りまで3000種!

3000種類もの箸が揃う箸のふるさと館WAKASAの館内
箸のふるさと館WAKASAの館内には、なんと3000種類ものお箸が勢揃い。カラフルできれいな若狭塗箸は、軽いしかさばらないし、おみやげ品にぴったりです。数百円から数万円するものまで、値段の幅が広いのも特徴です。

値段の違いはどこから来るの?

高級な若狭塗り箸
伝統工芸士・古井正弘さんの作品をはじめとする高価な若狭塗箸は、人工的なものを使わず、木漆などすべて天然の素材を使い、かつ手作りで仕上げているそうです。

加工された木地に何色もの漆を塗り重ね、その過程で貝殻・卵殻・松葉・金箔などを塗布していく若狭塗は、別名「変わり塗り」とも呼ばれています。伝統技法では、数回におよぶ漆の塗装や研磨などに多くの時間と手間がかかります。

異なる色の漆を何回も塗り重ねるので、1回1回完全に乾かさなければなりません。どうしても値段が高くなりますよね。(今井さん)

もともとは、贅を尽くした高級漆器として始まった若狭塗

若狭塗漆器
塗師 (ぬし) 松浦三十郎が発案した当時、若狭塗は若狭盆や筆、筆箱、花見弁当箱などに用いられました。お殿様が気に入られて産業を保護したことから、螺鈿や蒔絵のほか「箔押し」「研出し」などさまざまな手法が完成。高級漆器として評判を上げたとか。
ところが華やかな模様を施した若狭塗は、質素倹約を良しとする徳川時代、誰もが堂々と使えるものではありませんでした。一部の公家や武家、裕福な商家などの注文生産、つまりオーダーメイドが基本だったそうです。
当時の若狭塗は「高嶺の花」。戦後「若狭塗箸」という形で全国に広まっていったのは、その美しさに庶民はずっと憧れ続けていた、ということなのでしょう。

若狭塗の美しさを庶民の食卓へ!

近年は速乾性の塗料が普及して、大量生産が可能になってきました。箸は使ってもらうことが大事。若狭塗箸の華やかさ、美しさを庶民の食卓にお届けするため、常に消費者ニーズに合った箸づくりを目指してきました。(今井さん)

なんと若狭塗箸は現在「塗箸生産シェア」で8割を占め、全国1位を誇るまでに!

ニュアンスカラーや食洗機OKの塗箸も!

モダンなくすみカラーの若狭塗り箸
最近は塗料の進化に加え、フィルムによる転写技術なども駆使し、デザインに幅が出てきているそうです。塗箸を作っている店はそれぞれがオリジナリティを目指し、デザイン性を考えて商品展開をしています。
お店ごとに展示された若狭塗箸

お店ごとに展示された若狭塗箸

食洗機対応や左利き用、滑り止め加工がついたものなど、多様なライフスタイルに合った塗箸がラインナップ。 形も四角形だけでなく、六角形、八角形などバラエティに富んでいます。手にとって、自分の手になじむ塗箸を探してみたいですね。

まだまだ伸びしろがある産業なので、後継者が増えてくれることを願っています。上海やミラノの見本市に出店するなどして、若狭ブランドをさらに海外に広めようとグローバルな展開を進めています。(今井さん)

作る楽しみ・選ぶ楽しみを満喫して

若狭の海底の美しさが生んだ若狭塗箸は、和食文化を彩るテーブルウェア。たくさんのお箸を前に、あれこれ目移りするのも楽しい時間ですよね。「体験コーナー」で作り方を知ってから館内に並ぶ若狭塗箸を見ると、その模様がより美しく感じられることでしょう。

若狭塗箸協同組合 箸のふるさと館WAKASA

住所 福井県小浜市福谷8-1-3
利用時間 平日 9:00~17:00
日曜・祝日 9:00~17:00
休館日 年末・年始・木曜日
※木曜日が祝日の場合と8月4日、8月13日~16日は開館しています。
(但し、木曜日が祝日の場合、翌金曜日が休館となります)
駐車場
交通アクセス JR小浜線「小浜駅」から車で10分
舞鶴若狭自動車道 小浜ICから車で約10分
料金 入館料 無料
研ぎ出し体験 1,100円(税込)
お問い合わせ先 電話 0770-52-1733(平日9:00~17:00/日曜・祭日9:00~16:00)
URL https://wakasa-hashi.com/
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